これまで多くの方が、「歯が痛くなってから歯医者に行く」と考えていたかもしれません。確かに、歯医者では痛みの根本原因を取り除くことができますが、このような状況ではすでに歯の寿命を縮めてしまっていることが多いのです。
一度削った歯は元の状態に戻ることはありません。
そのため、近年ではむし歯や歯周病を予防するための定期的なメンテナンスが重視されています。
継続的に健康な歯を保つためには、むし歯になる前の予防的ケアを行うことが重要です。
このように早期からのケアを心がけることで、長期的に歯を守ることができるのです。
定期的なメンテナンスを受けることで、むし歯や歯周病を発症する前に予防することができます。
一度治療した歯も、詰め物や被せ物の隙間から細菌が侵入し、再発する二次むし歯のリスクがあります。
また、放置された歯周病は重症化し、最終的には歯を失うことにもつながります。
これらのリスクを減らすためには、定期的なメンテナンスが効果的です。
メンテナンスにより口腔内と全身の健康を保つことができます。
8020運動は「80歳で自分の歯を20本保とう」という目標を掲げています。
この運動は、厚生労働省と日本歯科医師会が推進しています。
むし歯や歯周病はただ歯を失う原因ではなく、全身の健康にも影響を及ぼします。
これらの疾患の原因となる菌が血管を通じて体内を巡り、心筋梗塞や心内膜炎、脳梗塞などを引き起こすことがあります。
さらに、歯周病が進行すると血糖のコントロールが難しくなり、糖尿病の合併症としても機能します。
これらのリスクを避けるためにも、定期的なメンテナンスが非常に重要です。
クリーニングでは、専用の器具を用いて普段の歯磨きでは落とし切れないプラークや着色を除去します。
通常の歯ブラシでは約60%のプラークしか取り除けないため、残ったプラークは細菌の増殖を促し、むし歯や歯周病のリスクを高めます。
そのため、定期的なクリーニングでこれらを徹底的に除去し、口腔内を清潔に保つことが必要です。
また、クリーニングによりコーヒーやお茶、タバコによる着色も取り除かれます。
着色した部分はざらつき、プラークの付着を促すため、これを除去することでプラークの蓄積を防ぎます。
歯石取りは、歯ブラシで落としきれなかったプラークが2日程で石灰化し始め、約2週間で歯石へと変化します。
歯石は歯に強く付着し、自宅でのブラッシングでは除去が困難です。
歯石が存在すると細菌の増殖が促され、むし歯や歯周病、さらには口臭の原因ともなるため、歯科医院での歯石取りが欠かせません。
染め出しは、特殊な染め出し液を使ってプラークが赤く染まることで、磨き残しのある部分を確認する手法です。
この方法により、普段の歯磨きでどの部分が磨けていないのかが明確になります。
染め出しの結果を基に、効果的なブラッシング方法を指導することで、口腔内をより清潔に保つことができます。
ブラッシング指導では、患者様の歯並びや生活習慣に適した歯ブラシやフロス、歯間ブラシ、歯磨き粉を提案します。
これにより、磨き残しが多い部分や効果的な磨き方を学び、日々のセルフケアを正しく行うサポートをします。
生活習慣指導では、むし歯や歯周病のリスクを高める食生活や喫煙などの習慣に注目します。
不健康な生活習慣が口腔内の健康にどのような悪影響を与えているかを判断し、改善策を提案することで、全体的な健康維持を目指します。
フッ素塗布は、むし歯の予防に非常に効果的です。
フッ素は歯の表面を強化し、細菌の活動を抑えることで、歯を元の健康な状態に保つ助けをします。
フッ素の保護効果は約3~4ヶ月持続するため、定期的な塗布が推奨されます。